RISEの活動

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理事会便り(2012年7月)

“セルフ・エスティーム意識”の日米の違いを探るために、昨年末に日本で実施した、「RISEベンチマークサーベイ(ビジネスパーソンの働く意識調査)」と全く同じ質問票と調査設計をもとに意識調査をアメリカで実施しています。アメリカでの調査ポイントは、多様性を反映したデモグラフィック(属性)分布の確保と地域の偏りを出来るだけ排除して、多様性の様々な要因の中でセルフ・エスティームに影響する要素がどのように変化するのか、変化しないのかを興味深く観察したいと考えています。
セルフ・エスティームについては、アメリカでも同様の調査が存在していると思いますが、慶應義塾大学教職課程センター、伊藤美奈子教授が中心となって開発された22項目の指標を使用した“セルフ・エスティーム測定尺度”を組み込んだ今回の調査は非常にユニークだと考えています。この調査結果から、日本人とアメリカ人のセルフ・エスティームに関する意識や自己認識の差が明らかになることに注目しています。

また、今回の調査結果の分析にあたっては、日米の文化や意思表示の方法の違いに注意を払うことが必要との理解をしています。これはよく耳にすることですが、日本人はアンケート調査に回答する際に、選択肢が10点法(10ポイントスケール)だとすると、1点、或いは10点などの極端(extreme)な点数を選ばずに、概ね“4点~7点”の中間レンジの点数で回答する傾向があるようです。しかし、世界を見渡すと、欧米諸国を筆頭に、“1点/10点”などを選択することで自分の意思をハッキリと表示する傾向のある国民が多いようです。こういった環境では、日本人の答え方や態度が曖昧で微妙なモノと捉えられてしまうことが多いようです。このような、「極端な評価や採点を避ける」日本人の特性が世界の中では少数派だという事実を「日本人の美徳」とする方も多いようです。ただし、我々はここで云われている「日本人の美徳」が、日本国内の日本人の間でのみ通用している価値観ではないかと考えています。私たちがダイバーシティ&インクルージョンの推進をお手伝いして来た企業でも、外国人社員の方々はこのような“曖昧さや断定しない文化”に戸惑っていましたし、また、多国籍企業の社員として本社の会議や研修に出席する機会の多かった自分たちの経験では、グローバル環境下に置かれたときに、自分でも不思議なほど「明快な意思表示」をしていたことを記憶しています。

この日本固有の価値観や「日本人の美徳」が日本人のセルフ・エスティーム、特に成長期の子供たちのセルフ・エスティームの形成に与える影響についても、この調査結果の分析を通じて、さらに理解を深めていかなければならないと考えています。米国での調査は今月末に終了しますが、調査結果はRISEの活動報告のなかで順次皆さんに報告させていただきます。