RISEの活動

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RISEの1年、そして、今後への展望(2012年11月)

設立時の構想

昨年2011年7月、「自己尊重感(セルフ・エスティーム)が、日本人は一般的に低いのではないかという課題に直面し、健全なセルフ・エスティームの醸成は、日本がこれまでの殻を破って世界に存在を再認識させるために、今後の日本人に必要不可欠なものであると私たちは考えます。」という問題意識に基づき、私たちは一般社団法人セルフ・エスティーム研究所(以下RISE)を設立しました。

この法人の目的は
「日本社会の持続可能な成長を牽引するセルフ・エスティームの高い人材の育成にかかわる領域の学術的研究およびその研究の発表、人材育成活動の支援・交流・協力をとおして、“新しい日本”作りに寄与すること」とし、下記のような事業を行うことでスタートしました。

事業:

  1. 日本人のセルフ・エスティームについて現状分析調査および研究にかかわる事業
  2. 新しい日本が必要とするべき人材のあり方に関する調査・研究にかかわる事業
  3. 日本社会が必要とするリーダーおよびリーダーシップを育成するためのセルフ・エスティームを高める手段の研究および啓発活動の実施にかかわる事業
  4. 日本社会のリーダーシップ関連の課題に関する調査・研究の国内外広報事業
  5. 上記、日本が必要とするリーダー(人材)およびリーダーシップを育成する事業を展開する国内外諸団体との交流・支援と協力事業
  6. その他この法人の目的を達成するために必要な事業

一年間の実績

設立から数か月間、私たちの考えを整理し、11月にホームページを立ち上げました。
また11月に、RISEベンチマークサーベイ2011を実施し、ダイバーシティ&インクルージョン関連の認知度、実行度調査と、今回初めてセルフ・エスティーム度の調査を実施しました。

東京都の委嘱を受けて、教育現場でのセルフ・エスティーム醸成の調査研究を行っておられる慶応大学の伊藤美奈子教授にもおめにかかり、先生が調査で開発されたセルフ・エスティーム尺度の質問項目を、2011年調査で使用させていただきました。
この結果、日本人のセルフ・エスティームの実情が定量的に把握できたと考えています。

また1月からこの課題に関心を持つ数名の方々と研究会の準備会合を開きました。しかし、この課題の広範さや深さに、研究課題が絞り切れず、研究会構想は現在のところ中断となっています。

日本人のセルフ・エスティームの実態は把握できても、何らかの比較データがなければ、さらなる分析は難しいと考え、2010年にひきつづき、アメリカで日本同様のベンチマーク調査を7月に実施しました。

その間の社会の動き

日本社会は相変わらず政治的な混迷が続いています。2011年9月に野田内閣が発足しましたが、消費税増税法案をめぐる野党との駆け引きに追われ、災害復興、景気対策など、内政面での対応が遅れていました。
そこへ加速して、8月以降の中国との尖閣諸島問題、韓国との竹島問題など外交の課題も大きく浮かび上がり、沖縄の基地問題やオスプレイ配備などの課題に関する日米関係の摩擦の顕在化など、外交問題でも現政権の未経験さや判断力の欠如が明らかになってきました。

また、日本企業の業績も、円高の影響、中国における日本企業へのデモの先鋭化、対中国輸出の減少などで、2013年3月期の決算見込みは、多くの企業で下方修正されています。

2011年RISEを発足させたときの「このままでは日本は世界から取り残されてしまう」という私たちの危機感はますます大きくなっています。

日本の現状とセルフ・エスティーム

私たちの調査の結果、セルフ・エスティームの3要素の測定数値は以下のようになっています。

日本 参考値・アメリカ
関係の中での自分 3.06 3.44
自己主張・自己決定 2.98 3.43
自己評価・自己受容 2.76 3.42

セルフ・エスティーム尺度は5段階評価方式

伊藤教授の分析によると、
「関係の中での自分が高い」のは、

【傾 向】

また自己評価・自己受容が低いのは

【傾 向】

まさに、国際社会の中で自信を持って行動できず、しっかりと自分の意見を述べることのできない日本人の特質が浮かび上がってきます。 戦後67年、これまではアメリカの世界覇権のもと、ひたすら経済発展にいそしんできた日本ですが、今回の尖閣の問題では、アメリカそのものの影響力の低下とあいまって、日米安保条約に依存してきた日本の体質の弱点が、すなわち、日本人としてのセルフ・エスティームの課題が顕在化してきたと、私たちは考えています。

また、上記表で参考値として示しましたが、セルフ・エスティームの日米比較においても、日本人のセルフ・エスティームの低さは明らかであり、伊藤教授が行った日本・中国・韓国の子どもの比較(15歳)でも、同様の傾向がみられることから、今後、国際社会で互角に議論できる人材育成のためには、子どものうちからセルフ・エスティームの喚起に努めることが、きわめて重要であると考えます。

子どものセルフ・エスティームを喚起することの重要性は過去にも言われ続けてきました。
子育てや学校教育の現場で、セルフ・エスティームの醸成を図ることの提案や、研究もおこなわれています。 しかし残念ながら、セルフ・エスティームに関する社会的な認知は低く、2011年RISEが行った調査でも、「セルフ・エスティーム」という言葉の認知度は5.5%にとどまっています。「自尊感情」の認知度は調査していませんが、それほど人口に膾炙しているとは言えないと感じます。

RISE 今後の活動の焦点

設立当初、私たちは今後の日本のリーダー育成のためのセルフ・エスティームの醸成に着目し、成人を含む組織の人材開発も視野に入れた活動を考えていました。 しかし、日米の調査結果をみたとき、セルフ・エスティームは、子供時代の親とのかかわり方や教育の問題と深く関連していることが明らかだと考えます。

そこで、今後は下記に注力して活動しようと考えています。

セルフ・エスティームの重要性について、最近さまざまなところから「賛成」のご意見をいただくことが増えてきました。これからも微力ですが、日本社会が「みんな違ってみんないい」社会となり、革新力を高めるように、具体的な方策を探求するお手伝いをしていきたいと考えます。