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理事会便り(2013年6月)

今月の理事会は、GOLD(Global Organization for Leadership and Diversity)の代表、建部博子さんが来日された機会をとらえ、日程をくりあげ5月29日に開催しました。

冒頭は最近の日本内外の動きや、現状をアメリカの人々はどう見ているのかなど意見交換を行いました。経済は一見明るく見えても抜本的な改革が実行されなければ、人口減少による経済成長の停滞は目に見えており、また外交・政治にもあまりにも多くの課題を抱えていることに悲観的になりがちですが、やはり、外から日本を見ている建部さんは「3・11以降、日本の若者の成長ぶりは頼もしい。社会起業家など、海外で本当に意義ある活動をする人々も増加している」と明るい展望を語ってくださったのが印象的でした。ただし、日本や日本企業の将来に不安を持ち、本当に優秀な若者は、日本離れ、日本企業離れしてきているのではないか。能力のある人たちの処遇の問題や、若者たちを失望させないためにも、なにかドラスティックな制度的大転換を図る必要があるのではないかなどと話し合いました。

ここからが本論になります。
3月に建部さんがロスアンゼルスで開催したシンポジウムのテーマは、「Reflect, Renew, Reinvent, Driving innovation through inclusion」。アメリカでもダイバーシティ推進を長年続けているが、グローバル化が進む中で真のInnovationをもたらすためには、従来と同じやり方でなく新たなアプローチが必要というのが、建部さんの問題意識です。そのためにはよりInclusionを前面に打ち出すことで、人材(タレント)をいかに引き出し、組織にInnovationを起こすために活用するかが課題だということです。

ここでInclusionという事に関して議論を進めました。Inclusionとは、個人がどのように組織に認識されているかという個人的、心理的なものであり、企業が管理できるものではないという見解や、やはり企業が結果を出すためにInclusionを推進するのだという見解が出されました。ただし、ここでいうInclusionは結果を求めるものであり、単なる勤続年数の長さや定着率の改善だけでは評価できないものです。ですから、企業側は優秀な人材のエンゲージメントを高め、創造性を高めるような職場環境を醸成しなければならないし、個人は、自分のキャリア形成に関して明確なビジョンを持つことが必要になります。

多少変化しているといっても、いまだに日本企業、特に大企業の社員は、ほぼ終身雇用的な意識が強く、転職やキャリアチェンジの考え方になじんでいません。しかし、小西さんによると最近、プロティアン・キャリア(変幻自在のキャリア)という考え方が日本においても注目されてきているようです。プロティアンキャリアの考えは、組織によってではなく個人によって形成されるもので、移り変わる環境に対して、自ら方向転換して個人の心理的成功を目指すと考えています。この心理的成功のためには、「アイデンティティ」と「アダプタビリティ」が必要だとされていますが、特に「アイデンティティ」は、自己理解の程度であり、自己概念の統合の度合いと考えられており、これまでなら、組織に尊敬されているかとか、私は何をすべきかといった組織に焦点が当たってきたのに対し、プロティアンキャリアでは、自分を尊敬できるか、自分は何がしたいかといった自己が重要だとされています。

多様な価値観を持つ人々の力を企業や組織がいかに発揮させられるのか、また個人はセルフ・エスティームを健全に保つことで、環境に適応しつねに自己成長しながら、新しい環境変化に挑戦できるのか、日本社会の課題はまだまだつづきそうです。