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RISEベンチマークサーベイ2011(ビジネスパーソンの働く意識調査)

一般社団法人 RISE 調査企画室

調査の背景と目的

2009年末にNPO法人GEWEL主催で、日本社会における“D&I環境”の実際と変化をよりタイムリーに、かつ、簡潔に追求・レポートしていく事を目的に、第1回調査が実施された。当初から、トラッキング調査としてビジネスパーソンの意識変化を時系列で追いかける事を目的として設計された調査であり、2011年に一般社団法人RISEが継続して実施した(フィールドワーク:2011年11月11日~2011年11月15日)。今回からRISEが継続する事となり、前回の主用調査項目を基本軸に、RISEの研究テーマである、”日本人のセルフ・エスティームの実態“を詳細に把握する領域を追加した。以下が基本調査領域;

具体的には、以下の質問(ネットリサーチ用自記入式質問票)を設定:
Q1: 会社・組織に対する“愛着度”(5段階評価)
Q2: 仕事の満足度(仕事や労働環境など、12項目に対し5段階評価)
Q3: 仕事(現在の職場)で“やりがい/働きがいを感じる時”(12項目から複数選択)
Q4: 仕事能力の自己評価(仕事能力関連、13項目に対し3段階評価)
Q5: 会社・組織のインクルージョン環境(10項目に対し5段階評価)
Q6: D&I関連キーワード認知(3段階評価)
Q7: 会社・組織のダイバーシティ環境(15項目に対し5段階評価)
Q8: 職場の男女の地位評価(5段階評価)
Q9: 職場で感じる男女間差別の実際(16項目から複数選択)
Q10: セルフ・エスティーム測定尺度(22項目の自尊感情尺度に対し4段階評価)
(※慶應義塾大学教職課程センター、伊藤美奈子教授が開発した22項目の自尊感情測定尺度を使用)
Q11: 子供時代の親(保護者)との関係(6項目に対し4段階評価)
Q12: 日本のリーダーにふさわしいと思う人物(自由回答)
Q13: 日本のリーダーにふさわしい人物の資質(22項目から複数選択)

調査手法と実査依頼調査会社:
(株)ユーティル(http://www.util.co.jp)の保有するネットリサーチ、ユーティル・ネットリサーチシステム(http://www.util.net/)を使用した定量Web調査。

調査対象者&サイズ:
企業、官庁、或いはNPO・NGO組織に属して、週に4日以上、または、30時間以上働いて収入を得ている20歳から59歳の働く男女、2,400人を調査対象者とし、有効回答数は2,344人。


結果の要約

今回は第1回目の報告として、調査結果のハイライトをまとめてみました。
(※レポート内で使用されている、“変化がない”や“有意な差”は、統計数値検定で95%以上の信頼度がある場合に記載している。)

【総評】
調査結果全体を俯瞰したところ、2009年からの2年間で、基本指標に際立った変化は見られない。その中で、“ダイバーシティという言葉を聞いた事があるし、意味も理解している”が10%から14%と有意に上昇した事をはじめとして、ダイバーシティ関連キーワードの認知が軒並み向上しており、各企業、或いは支援組織のこの分野での努力の成果が現れていると考えられ、喜ばしい限りである。
企業ロイヤルティや働く満足度など、ビジネスパーソンの働く意識に際立った変化はみられないが、仕事能力の自己評価ではこの2年間で数値が低下している項目が散見され、社会の閉塞感を反映したネガティブなトーンが増長されているのではないかと心配される。そんな中で、国際志向意識(国際的なビジネスシーンで活躍したい)は向上しており、欧州危機や米国経済のニュースが頻繁に取り上げられる中で、日本社会・経済の更なるグローバル対応が必至と理解するビジネスパーソンが増加していると思われ、将来に期待が持てる結果も見られる。
慶応大学教職課程センターの伊藤美奈子教授が東京都教職員研修センターとのプロジェクトで開発した、「22項目のセルフ・エスティーム測定尺度」を用いたビジネスパーソンのセルフ・エスティーム度分析は今回が初めての試みゆえに、比較材料がなく結果分析に制約はあるが、対象者の属性ごとに有意な違いが見られるなど、今後のセルフ・エスティーム研究に価値ある出発点となった。

以下が項目別の結果ハイライト:

  1. セルフ・エスティームを除き、下記、9つのキーワード全ての認知率(聞いた事があるし、意味も理解している)が2009年度比で有意に上昇した。“セルフ・エスティーム”を聞いた事があるし意味も理解している人は全体の5%、聞いた事はあるが意味は分からないが11%、聞いたことがないが84%という結果である。


  2. 企業内ダイバーシティ推進実態は、2009年度の結果と比較して、“CSR活動への取組み:27%→32%”、“定年後再雇用や高齢者の採用:29%→32%”、“女性管理職の登用:23%→25%“、”障がい者向け環境整備:17%→20%”、そして、“ダイバーシティトレーニングの実施:8%→11%”などの数値が有意に高くなっており、各企業でのダイバーシティ推進努力に対する成果が垣間見られる。 とは言いつつも、”ダイバーシティ“そのものの言葉の絶対値レベルの認知が低い事を反映してか、社内推進状況への評価数値は全般的に高いレベルとは言い難い。評価の低い項目として、”ダイバーシティの理解や意識を高めるトレーニングの実施をしている”、“積極的に外国人の採用を進めている”、“グローバルな人材育成の仕組みを整備している”、“障がい者の採用を積極的に進めている”、“経営層が悪しき社内慣習や暗黙の規範を率先して変えていく努力をしている”、そして“経営陣を含む、全社員が、それぞれの考え方や行動の仕方の違いを受け容れ、やりがい/働きがいのある職場作りを目指している”などがある。
  3. 男女間格差に関しては、“男女は平等である”と考えている回答者が全体の36%、男性優遇と考える回答者が47%と2009年度からの変化は見られない。男女間格差を意識させる項目として数値が高いのが、“男女社員の人数が不均等”、“女性の管理職が少ない、或いは、女性を管理職に登用しない”、“総合職の人数で男性が圧倒的に多い”、“男性の昇進・昇格が女性に比べ速い”などである。
  4. ビジネスパーソンの企業・組織に対するロイヤルティ(愛着心の強さ)は55%(愛着を感じている+やや愛着を感じている)で、2009年度の56%から変化が見られない。
  5. 仕事関連項目に対する満足度も2009年度の調査から大きな変化は見受けられない。個人で主観的な見方のできる項目、例えば、“仕事の内容や進め方”や“社内での人間関係”などに対しては相対的に満足度が高いが、“報酬”を含め、組織に対し客観的に求める要素に対し不満度が高い傾向が見られる。唯一経年変化が見られた項目は、“育児・介護休暇や時短勤務など、制度の利用しやすさ”であり、満足度数値が有意に上がった。
  6. 仕事をしていてやりがいを感じる項目やその序列も2009年度からほぼ変化はなし。上位に来る項目としては、“お客様から感謝の言葉を頂いたとき”、“職場の仲間や上司が自分の仕事のやり方や進め方を理解してくれたとき”、“昇給・昇進をしたとき”、“職場の仲間や上司からねぎらいの言葉をかけて貰ったとき”、そして“上司から期待されている事がわかったとき”などである。
  7. 仕事上の自己評価(セルフ・エスティーム)では、“日本だけでなく国際的なビジネスシーンで活躍したいと思う:19%→23%”が2009年度比で有意に上昇、反面、“仕事をする上で、常に自分なりに努力している:84%→80%”、“現在の会社・組織に貢献している:63%→60%”、そして、“自分の能力は、他社に行っても十分役立つと思う:45%→41%”の数値が有意に下落している事が気になる。
  8. セルフ・エスティームの測定結果は別の機会に詳細報告する予定だが、ビジネスパーソンのセルフ・エスティームは中学・高校生と比べて若干高い結果が見られる。また、子供のいる人、管理職や役員、或いは、海外生活経験のある対象者でセルフ・エスティームが高い傾向が見られた。
  9. ビジネスパーソンが想う日本のリーダーにふさわしい人物として、坂本竜馬、北野武、イチロー、橋下徹、織田信長、小泉純一郎などの人物があげられ、リーダーの資質としては、“指導・統率力がある”、“カリスマ性を持っている”、“優れた分析力/洞察力を持っている”、“自分の考え方を主張することが出来る”、“責任感が強い”、“自分から積極的に行動する”、“グローバルな視野を持っている”、そして、“考え方が前向きである”などが上位で考えられている。