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ビジネスパーソンの働く意識とセルフ・エスティーム度(調査結果の日米比較)

ハイライト版

一般社団法人 RISE 調査企画室

4月に報告させていただきましたが、“RISEベンチマークサーベイ2011”と全く同じ概要の調査を米国で本年7月に実施しました。2009年末/2010年初めにもNPO法人GEWEL主催で日米両国での調査を実施しましたが、2年経過した今回、改めて、日米のビジネスパーソンの意識の違いを検証してみました。特に今回は、先の日本での調査でも取り入れた、「22項目のセルフ・エスティーム測定尺度」を用いて米国のビジネスパーソンのセルフ・エスティーム度を分析することで、日米の違いが鮮明に浮き出てきました。
調査対象者は両国とも20歳~59歳のビジネスパーソン(週に4日以上、または、30時間以上働いて収入を得ている)で、日本での有効回答数は2,344人、米国では1,600人でした。
今回の報告では、I.ビジネスパーソンの働く意識、II.ダイバーシティ&インクルージョン関連のキーワードに対する認知レベル、III.組織内の“ダイバーシティ&インクルージョン環境“についての評価、そして、IV.セルフ・エスティームの実際(仕事能力の自己評価と個人の自尊感情レベル測定)を主な領域として、それぞれにおける日米の違いに焦点を当て、ハイライト版としてお送りします。

(結果の総評)

日本の調査結果がそうであったように、米国での結果も2年前との比較で変化のみられる項目がほとんどなく、ゆえに、日米比較においても、2010年からの2年間で基本指標に際立った変化は見られませんでした。調査結果の比較では、改めて、日米の違いの大きさに驚かされますが、特に意識面での回答においては、これらの違いが日米の国民性や文化背景からくる、調査質問に対する回答態度の違いに原因があるものなのかは議論の余地があると思います。

I.ビジネスパーソンの働く意識

① 会社や組織に対する愛着心(ロイヤルティ)、並びに、仕事関連の項目に対する満足度ともに、米国ビジネスパーソンの数値が日本に対し圧倒的に高い。

(※“部下の仕事遂行能力”は、管理職の数値を使用)

② 仕事のやりがい

前回調査と同様の傾向ですが、人間関係を軸とした感情的なニュアンスに対しやりがいを感じる日本人と、自己能力を評価されたことをストレートにやりがいと感じるアメリカ人の意識の差がハッキリと見られます。


II.ダイバーシティ関連キーワード認知

数値が近いとはいえ有意差のある“男女雇用機会均等法”を含め、総てのキーワードにおいて米国の数値が日本を圧倒しており、日本において、この領域への関心や社会性を高める必要性を強く感じます。

(注:キーワードのほとんどがカタカナと云うことで、アメリカ人が各キーワードを英単語としてとらえ回答していると考えられるが、実際の質問では、“Have you ever heard of the following terms in the context of human resource management and development?”と、単に単語の認知ではないことを強調した。また、それぞれのキーワードも、“ダイバーシティ:Diversity Management”、“セルフ・エスティーム:Employee Self-Esteem and Workforce Management”“インクルージョン:Inclusion at Work”などのように、英単語単体を避けて使用しており、日本の結果と直接比較できると判断している)

III.組織内の“ダイバーシティ&インクルージョン環境”の評価

① 組織内ダイバーシティ環境

企業内のダイバーシティ&インクルージョン環境整備は、日本と比べアメリカではるかに進んでいる状況がうかがえます。


② 職場の男女差別

“職場での男女の地位は平等”とする意識は、圧倒的に日本が低い。この意識を醸成する最も大きな理由が、管理職と総合職における女性の少なさであり、また、“女性は結婚したり子供が生まれたりすると勤め続けにくい雰囲気がある”や“女性は派遣社員が多い”などが日本特有の課題と考えられます。


IV.セルフ・エスティーム(自尊感情)の実際

① 仕事上のセルフ・エスティーム

“仕事をする上で、常に自分なりに努力している”の数値が比較的近いことを除き、総ての項目において、対米比較で、日本人ビジネスパーソンの仕事におけるセルフ・エスティーム(自尊感情)の低さ際立っています。特に、自分自身の評価をも曖昧にする日本人の感性は国際社会で課題となると思われます。


② 基本的なセルフ・エスティーム

セルフ・エスティームについては、慶応大学の伊藤美奈子教授が開発した「22項目のセルフ・エスティーム測定尺度」を使用しており、最終レポートではこの測定尺度の基本的な分析モデルを用いてセルフ・エスティーム度の評価を行う予定ですが、この報告書では各項目の数値を日米比較して態度の違いを分析しました。日本人の人間関係を重視する姿勢からうまれる、“自分のことを見守ってくれている周りの人々に感謝している”がやや数値的に米国を上回っており、また、自己をネガティブに評価しています。


以上ですが、前回(2010年)と同様に日米間の大きな数値の開きをまのあたりにして、あらためて文化風土の違いがそこで暮らす国民の意識や態度に齎す影響力の大きさに驚かされました。但し、急激に進むグローバル社会で日本/日本人がリーダーシップを発揮して健全なグローバルポジションを得ていくためには、今までのように、文化や国民性の違いを基本因子としてこれらの差を説明して納得する時代は終わったと感じています。日本人のセルフ・エスティームが高まり、より積極的に自分の意見や価値観を表現できる様にならなければグローバル社会の中で生き抜くことが不可能であることは認識されつつあります。日本人の価値観、ものの捉え方などの変容が今後の課題と言えます。

※詳細のレポートは近日中に公開予定です。