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両立しながら正社員として働き続けることを選択した女性は、どんな人たちか

急激な少子高齢化に対応して女性の活躍推進が日本社会の課題といわれています。しかし、女性の継続就労の拡大や女性管理職登用は遅々として進んでいません。その理由は様々考えられますが、女性自身が正社員として働き続けることを選ばず、非正規社員の立場で子育てを行っていく道を選択しているためです。

平成21年に内閣府が行った「男女共同参画社会に関する世論調査」で、“結婚したり子供ができたら女性は職業を辞める方が良い”と回答した人が男性で51.9%、そして女性でも50.3%と、人口の半分が社会・文化的背景からか、子育ては主に女性が担うものと考えているのです。言い換えれば、男女役割分担を肯定する人が日本には半数いるのです。

“男性は外で働き女性は家庭を守る、あるいは、男子生徒は理系、女子生徒は文系を選ぶべきである”といった男女役割分担の考え方が日本には根強く残っています。内閣府男女共同参画局での調査研究から、結婚・出産・子育てを契機に女性はいったん正社員を辞め、子育てが一段落してから再就職する傾向があることが分かっています。女性たちの多くが、結婚・出産・子育てをしながら正社員で働き続けることは女性にはできない(自分にはできない)と思っているのです。または、社会の中でそのように教育されてきたと考えられます。しかし、内閣府が平成21年に行った「男女のライフスタイルに関する意識調査」によると、このような状況の中でも子育てをしながら正社員で働き続けている女性たちが17.3%存在していることが分かりました。彼女らの男女役割分担意識が低いのか、あるいは自分の能力に自信があるから働き続けているのかに興味を持ち、彼らと非正規社員、そして、専業主婦との比較調査を行ってみました。

調査結果は、男女役割分担意識が低いほど自分の能力に自信があり(自己効力感が高く)、とくに正社員は非正規社員、専業主婦よりも顕著でした。つまり、男女役割分担意識の低い女性たちは「自分はできる」と考えており、男女役割分担意識が高い女性たちは「自分にはできない」と思っているのです。“男性は外で働き女性は家庭を守る、あるいは、男子生徒は理系、女子生徒は文系を選ぶべきである”と言い聞かされた経験の有無にも関係しますが、自分は女性だからできないといったこのような考え方が根強く残っているのです。

今回の研究結果から、男女役割分担意識の有無が女性の生き方の違いを生み、結果的に自己効力感にも違いをもたらしていることが明らかになりました。ただし、元々生まれ持った性格によって物事の捉え方が建設的か消極的かで自己効力感の高さには違いがあり、高い人が仕事を続けながら子育てをしていることも考えられます。今回の研究結果では、社会通念に積極的にチャレンジし困難を乗り越えてきた経験を持つ女性たちが自分の能力をポジティブに評価し、かつ、その自己効力感がさらに次のチャレンジへと行動させていることが裏付けられました。また、幅広い人間関係を持ち、多くのタスクをやり遂げていく中で能力(自己効力感)が高められることも、今回の研究で明らかになったといえます。

詳しくは、私のホームページに論文を掲載しておりますので、お読みいただければ幸いです。

小西ひとみ