年頭挨拶

2012年日の出とともにRISEもゆっくりとしかし着実に活動を開始し、日本をすこしでも変えていきたいと願っています。

今年の年賀状には、「今年こそ良い年にしたいです」とか、「今年は穏やかで幸せな年になりますように」という言葉が多く使われていませんでしたか? しかし、年始のニュースや新聞記事を見る限り、政治・経済ともに好転は期待できそうもありません。“日本社会の将来に明るい希望が持てるのか?”不安感や閉塞感が漂って始まった年明けのような感じがします。国民一人一人が明るい明日を希望しながら、それがどのような明日なのか、また自分たちで何をしたら良いのかわからないもどかしさを感じているようです。

昨年7月に私たちがRISE(セルフ・エスティーム研究所)を設立したとき、私たちは以下の問題意識を提起しました。

「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進活動を通じて私たちが学んだことは、“個々人の価値観や生き方を尊重したD&I活動を推進するためには、我々一人一人が、自分が価値ある存在であることを認識し、自分には自分の人生があり、ヒトにはヒトの人生がある。どれもすべて大切な人生であり、お互いの価値観を受け入れることで、創造性がもたらされる社会が生まれる”ということです。しかし、さまざまな活動や調査から浮かび上がってきたのは、日本人の低い自己尊重感(セルフ・エスティーム:自分は生まれてきて価値のある人間だ)でした。そして、この課題の克服、言い換えれば“健全なセルフ・エスティームの醸成”こそが、日本がこれまでの殻を破って世界にその存在を再認識させるために必要不可欠なものであると私たちは考えます。」

東日本大震災からの復興プロセスを見るにつけ、上記の問題意識はさらに強くなっています。震災からの復興に努力する地元の若者や、復興支援のために被災地を頻繁に訪問する若者たちと話し合う機会を多く持ちました。震災からの復興には従来の慣習や価値観にとらわれない人々の「創造性」が不可欠だと我々は考えていましたが、彼らの目標も「震災以前の状況への復興ではなく、これから持続可能な新地域をいかに創造するか」なのです。先ほども触れましたが、社会や組織の創造性は、多様な価値観を認め合い、お互いに受け入れることで生まれてくるものだとRISEは信じています。日本人がより創造的で前向きになるために、高いセルフ・エスティームを醸成し、さらなる“ダイバーシティ&インクルージョン環境”の整備が必要だと考えます。

もう一つの課題は、TPP交渉参加の是非や欧州経済の悪化、そして超円高環境に振り回される日本企業の実態から、待ったなしの状況に追い込まれている“真の日本のグローバル化”だと思います。年初に発表されたさまざまな予測では、今年11月のアメリカ大統領選挙が終わるまで、固定相場のようなってしまっている円高傾向は止まらないという見方が一般的なようです。この環境下、大企業の海外企業買収や海外生産拠点増加の動きが活発になってきていますが、日本企業は真のグローバル化に成功し、優れたグローバルポジションを再確立することが出来るのでしょうか?

年末のテレビ番組で「百年インタビュー」の再放送を見ましたが、その中で塩野七生さんが、ローマ帝国が約400年間にわたり版図を維持した要因は受容性にあるという趣旨のことを述べておられました。ローマでは属州の人々でも、ローマ帝国に貢献すれば市民権が与えられ、征服者・被征服者の関係が皆無とは言えないまでも最小にとどめられた時期が、ローマが最も繁栄した時期なのです。
また、昨年読んだエイミー・チュアの「最強国の条件」の中でも、ローマ帝国衰退の原因が不寛容さへの転向と述べられており、私たち流に言えば“ダイバーシティ&インクルージョンがローマ帝国の成功の源、もしくは最強国の条件である”と言うことでしょう。この場合、最強国とは世界の覇権を握るという意味ですが、企業がグローバル展開で成功するためにも、ダイバーシティ&インクルージョンの理解と推進は絶対条件です。では、日本企業にそれが可能なのでしょうか?勿論可能ですが、残念ながら、現時点では道はとても遠いと思われます。「英語の社内公用語化」や「クロス・カルチャー・トレイニング」を推進しても、ダイバーシティ&インクルージョンの精神(一人一人の人間の尊重、すなわち健全な自尊感情と他尊感情の醸成)に基づく企業文化が確立されなければ、真の意味のグローバル化は難しいのではと考えています。

こういった厳しい環境下、私たち「RISE:セルフ・エスティーム研究所」では、ダイバーシティ&インクルージョンとセルフ・エスティームに関して下記のような研究活動を行いたいと思っています。

  1. ダイバーシティ&インクルージョンとセルフ・エスティームの関連
  2. セルフ・エスティームの高さと人生や社会行動との関連
  3. 高いセルフ・エスティームの醸成システム

これらの研究を通じてRISEが、“希望の多い明るい日本社会の実現”に寄与できることを目指しています。また、昨年11月に日本のビジネスパーソンを対象に働く意識やセルフ・エスティーム度の調査を行いました。この調査結果についても、順次ホームページに掲載していきますので、ご期待ください。